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COLDSLEEP

まどるdが趣味でかいた小説をだらしなく垂れ流す場所


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なーんとなく2

「で、俺が呼び出された理由は? まさかアンタと世間話しながら昼飯を食うだけなんてのは、なぁ?」
 そう言って男はテーブルに供えられた制御卓(コンソール)の上に足を乗せ、組んだ。偽眼である左眼にかすかな光が点った。
「ああ、お前と昼食を食うくらいなら、ピザ頼んで一人で飲み明かした方がマシなものだ」
 言ってくれる、と男は内心で呟きながらも、相手――トーマスの表情に緊張が含まれている事を見抜いていた。古くからの付き合い、別の言い方で腐れ縁とも言うべき存在だった。
「で、話ってのは」
「お前も聞いているだろう。ここ最近、中東での独立、暴動、民族紛争が次々と起こっている事を」
「ああ。どうも胡散臭い噂が飛び交ってるな。聞いた話じゃ、世論を動かしてるとか何とか。本当か嘘かは知らないが、その扇動をしているの市民だってな。SNSを通して呼びかけて、運動を起してるとかなんとか」
「その通りだ。そしてそこで、奇妙な現象が起きているのだ」
 トーマスが男の足を睨みつけた。「おっと、失礼」と挑発するような声音で呟きながら足を退ける。備え付けられたキーボードで何やら起動させると、隣りの机に備え付けられた立体像映写機が起動し、幾つもの写真を表示した。
「ここは、ソマリアの政府軍と独立武装勢力との戦場となった場所だ」
 凄惨な光景だった。あちらこちらに血糊が張り付き、内臓がぐちゃぐちゃになって地に転がっていたり、血に固まった土が塊をなして粒となっている。建物は銃痕に塗れ、RPGが使われたのだろうか、大部分が欠損していたりして、とてもじゃないが生命を感じさせるものは何一つない。そこにいればきっと吐く自信があった。血の臭い、硝煙の臭い、肉の焼ける臭い、髪の毛の焼ける臭い、砂混じりの風に鼻に届く時、想像を絶する苦痛が訪れるのは一目瞭然だった。そんな写真がいくつも並べられている。
「どうだ? 違和感はないか?」
「……死体が無い」
 どの写真も壮絶な戦いの跡が叩きつけられるようにして残されていた。だが奇妙な事に、それだけの光景にも関わらず、死体が無いのだ。肉片はあれど、原型――少なくとも人であると認められるような――を留めた死体がどこにも写っていない。
「死体が写らないように撮ったのか?」
「いや、違う。死体が無いからこそ写したのだ」
「ここでどれだけの人間が倒れたかの推定は」
「おおよそ百。彼らの協力のもとに調べた暫定的な結果だが。おそらく全滅だ」
「戦闘が起こってからの時間は」
「約二日だ」
「……掃除屋か。珍しくもねぇな。家の掃除から戦場での遺体の回収までなんでもござれのやつらだ」
「だが、国は掃除屋には連絡を一つもしていないらしい」
「じゃあ、武装勢力が、だろ」
「それの意味するところは分かっているだろう」
 大げさに方を竦めて見せる。
「つまりは一つの契約をしているものとみられるってことだろ。武器が欲しいと言ったところ、遺体を寄越せとか何とか」
「そうだ。今や銃、重火器等の製造業は衰退し、今ではサイバネティクス産業、電脳産業が主流となってきた。銃や重火器を撃って資金とし、サイボーグ技術の研究に打ち込む事がおそらく、掃除屋の親玉の目的だろう。サイボーグ技術で一番の注目は脳のみを機械の身体に移植し、動かせるかだ。お前のように、一部分のサイボーグではなく、な」
 トーマスは男を見た。男の目は細められ、口には微かな笑みが浮かんでいる。小さな赤い点が眼の中心に灯り、その視線がトーマスの視線とぶつかる。
「正直、機械の身体に脳みそをぶち込んだところで脳みそがイかれると思うんだがな。双方の電気情報の規格が違いすぎるのさ。それを標準化させるナノマシンを組み込んだとしても、負担は大きすぎる。ナノマシンは常に破壊されるだろうから、常にナノマシンを注入しておかなきゃならない。そいつにゃ、莫大なコストがかかるはずだ。本来、一人の人間に注入されるべき量の何十倍も必要とするんだからな」
「だが、その実例は既に出ている。一人の男が、アメリカで行き倒れていた。親族も何も、彼が何処の生まれで何処から来たのかも分からなかったから遺体の受け取り手もいなかった。で、だ。エンバーミングを行ったところ、驚いたことに人間ではないじゃないか。何処を見てみても機械だったのさ。脳以外はな」
「……で、俺の登場ってわけだ。BPE(バイオポリティクス・エグザミナー)として。奴らに生命倫理を是非を問え、と。遺体にインフォームド・コンセントを行いましたか? ってか。脳移植してサイボーグを世間公表せずに作りだして、挙句の果てに放りだして死なせるような輩がまともに答えると思ってんのかい? 俺にどうしろってんだ」
「元凶を突き止められればいい。ハッカーとしても一流のお前だ。情報なんぞすぐに集まるだろう」
「簡単に言ってくれるな。ハッキングだって、見た目以上に骨の折れるもんなんだよ」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

またしてもネタである。今回はただ単に『バイオポリティクス』という単語を使いたかっただけという。今まさに『バイオポリティクス』という本を読んでいる真っ最中。こういう倫理的なものを理解するのには時間がかかる。というか、完全な理解は出来ないんだろうなw インフォームド・コンセントはどちらかというと『バイオエシックス』に含まれる分野だけど、まぁ、良いか。ただ色んなとこから批判受けそうで続きは書けそうにないな……。あくまでエンターテイメントとしての作品だとしても、語る内容が倫理的なら叩かれてもおかしくはないからなぁ。
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Comment: 6   Trackback: 0

08 01 ,2011  Edit


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Comments

SFの香りにひかれてきました。デン助です。
こういう〈冷たい謎〉とも呼べる伏線は特に興味をそそられます。
しかし同時にとても難しい題材であり、自分には回収しきれない伏線なのでどう展開していくのか気になりました。
SF書ける人は素直に羨ましいンダム……!
Re: タイトルなし
>デン助さん
コメントありがとうございます!

ほんと最近はSF系ばっか読んで書いてますね。しかし、ほんとに難しい……。そしてどう回収するかなんて考えてないンダム!(駄目だコイツ)

大丈夫、デン助さんにはガンダムがある! ガンダム!! あなたがガンダムだ!!
おーサイバーパンクだー
電脳化、無機物と有機物の融合、曖昧な生と死
好物なジャンルです





好きってことさ!
Re: タイトルなし
>HANA子さん
コメントありがとうございます!


> おーサイバーパンクだー
> 電脳化、無機物と有機物の融合、曖昧な生と死
> 好物なジャンルです
いやぁ、こういうのって美味いですよね。後頭部に施されたジャックを見ると背筋が凍りつくのは治らないのですが。そしてこう言うのにはやはり、サングラスをかけた男が主人公な訳でですね(ry
>
>
>
>
> 好きってことさ!

 これぞ究極論!
こんばんわ^^

この記事、サイバーパンクっぽくていいですね^^

そういえば欠損した手足のかわりに、動力式の義手や義足の開発がありますね。
欠損した部位まで来ている神経の電気信号を読み取って、自分の手足のように動くやつです。
あくまで動くだけで、感覚(触覚)もなくバランスをとるには、訓練が必要そうですが(゜▽゜;)
感覚神経まで再現できたらすごいですね^^
平衡感覚とかバランス感覚とか体内のセンサーから読み取って、脳に送る。
脳からの指令は機械が読み取れるけど、機械からの信号が脳に影響与えそうですが(・_・;)

それを再現できたら、フルボーグ化できるのかしら?

この記事の続きのお話が気になります(#^.^#)

それと、こちらにリンクを貼らせていただきました。
もし何か不都合があれば、すぐに解除します(ノ_・、)

それでは、また遊びにきますね^^
Re: タイトルなし
> 月黎風さん
コメントありがとうございます!

> この記事、サイバーパンクっぽくていいですね^^

全盛期は既に過ぎ去ったとはいえ、まだまだ現役の世界観だと思います!良いよね……サイバー!

> そういえば欠損した手足のかわりに、動力式の義手や義足の開発がありますね。
> 欠損した部位まで来ている神経の電気信号を読み取って、自分の手足のように動くやつです。
> あくまで動くだけで、感覚(触覚)もなくバランスをとるには、訓練が必要そうですが(゜▽゜;)
> 感覚神経まで再現できたらすごいですね^^

筋電義手とかですかね。世に知られる義手とかのイメージってやっぱり無機質てきなイメージが大きいですが、そういう人間味を帯びてきたものが作られ始めているという事実は衝撃的で、感動的でもありますよね。感覚神経までもが再現されたら、なんか義手のイメージが吹き飛びそうですw

> 平衡感覚とかバランス感覚とか体内のセンサーから読み取って、脳に送る。
> 脳からの指令は機械が読み取れるけど、機械からの信号が脳に影響与えそうですが(・_・;)

それについても課題は多くあるらしく、どこかで見た情報なんですが、今のところは脳から送られる信号でしか機能しない場合が多いみたいです。

> この記事の続きのお話が気になります(#^.^#)

そう言っていただけると嬉しいです。書けるよう、努力します!

> それと、こちらにリンクを貼らせていただきました。
> もし何か不都合があれば、すぐに解除します(ノ_・、)

いえいえ、ありがとうございます! こちらもリンクさせていただきますね! (リンク……良い響きだ!)

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