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COLDSLEEP

まどるdが趣味でかいた小説をだらしなく垂れ流す場所


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2

 作戦開始の暗号(コード)であるイレーネが叫ばれ、全部隊が作戦通りに動き始める。私もサポートのために、ワイヤレスイヤホンからマイク付きヘッドホンへと模様替えだ。
さっそく私はアメリカ衛星から送られてくる情報、とくに人体に内蔵されたマーカーの発する電波を割り出し、地図にあてはめ、戦場がどのように動いているかという状況の地図を即座に造り出し、映像として作戦司令部へと送る。衛星から送られてくる情報はところどころジャミングの影響もあって汚い。そのノイズ洗浄を他の奴に任せて私は次にソマリアへの変電所へとハッキングを仕掛ける。さすがに、ここにはガードの堅い対侵入電子プログラムが地雷(マイン)のごとくふんだんに敷かれており、一つでも間違って踏めばこちらのあらゆるデータがダダ漏れになる。そして、私はその場所に踏み込んだ。途端、画面の左上にブラックディスプレイが映し出され、とてつもない速度でデータが引き抜かれていく。
(これで良い……)
 今流出させているデータは架空の物で、ある特定のプログラムも組み込んである。勘の良い奴ならその違和感に気付くだろう。だが、そいつを下手に触っちまえば、今度はそっちが痛い目を見る仕掛けだ。私の本当の狙いは、監視カメラの管理を行っている企業だ。今、作戦が行われている地域の監視カメラは全て向こうの手の内にある。それを全て機能停止ないしはこちらの物にしてしまえば、状況は確実にこちらへと傾く。しかし、相手もそれを分かっているだろうから、私はあえて重要地点である変電所へのハックを仕掛け、そちらに注目を集めさせておいた。
 案の定、こっちのプロテクトプログラム(PP)は安っぽくて、人手も少ないのか簡単に抜ける事が出来た。あとは侵入パスワードを〇.三秒ごとに切り替える様に設定して、時間を稼ぐことにする。監視カメラの機能を停止させた。これでアメリカ軍の動きを把握する事は難しくなったはずだ。が、それでも地の利は彼らにあるのは明白である。
 私は、部隊のあらかじめ取り付けられた小型カメラと監視カメラの映像を地図にあてはめ、立体地図を描いてもらえるよう仲間―今の状況では―へとその情報を送る。――と。
《キイアアアアアアァァァアアアアイイイイ!!》
 とまるで女の断末魔のような叫び声がイヤホンから耳を劈くようにして上がった。私達の扱う軍事的周波数を読み取られ、ジャックされたのだ。
 《何事だ》
 と上官殿の声。即座に切り替えられた周波数によりノイズなし。
「回線をジャックされた。取り戻す」
 地図に赤い点が点滅し始めた。仲間が撃たれたのだ。この手のジャックの意味は、連絡を絶つことの意味以上に、精神汚染の意味も込められている。戦場にいる彼らは過度な緊張、興奮状態にある。しかし、戦場とはそのようなものであり、戦い慣れている者なら最低条件であるこの状況下では戦闘に支障をきたさない。しかし、いつも以上のストレスを与えられるとどうなるか。それが命取りとなるのは明白。
 さらに皮肉なことに、その回線は戦略的回線で、顎の骨に取り付けられた微細骨伝導イヤホンを利用するもので、イヤホン自体を取り外したり出来ない。つまり、長時間あの甲高い断末魔を聞き続ける事となる。それが彼らに悪影響でないはずがないのだ。
「どこから……」
《キイアアアアアアァァァアアアアイイイイ!!》
「よお、相棒。IPだ、とんでもないところからの御来客だぜ」
 彼がそう言って見せてきたのは、たしかにIPのそれだった。そのIPに大きな違和感を持たずにはいられない。
「ソマリアからじゃない……。このアドレスは……中国のだ」
 ブラック・バスは世界各国のハッカーを集め、世界規模のサイバーテロをなしている。なら、IPが中国でも妥当な訳だ。
 IPがこの場所までたどり着いた足跡を、見落とすことなく、忠実に追いかけていく。足跡を踏みにじる様にして相手へとにじり寄っていく。国境など関係ない世界を縦横無尽に這いずり、駆け抜け、泳ぎ、飛んでいく。
「……見つけた」
 そのIPの住所を割り出し、軍事通信衛星からのデータを照合し、その地区の市役所へとハッキング、そこがどんな場所かを盗み見る。一軒家、三人家族のいたって普通の民家だった。
「ハッキング痕(スティッチ)だ」
 彼はそういうと一人でにそのハッキング痕へと攻撃し始めた。隠ぺいが甘かったのか、瘡蓋(かさぶた)のようにして隠されていたハッキング痕(スティッチ)が現れ、引き剥がしてその中へと彼は突っ込んでいく。あらゆる国のサーバを中継し、やがてたどりついた場所は、
「……アメリカ」
 この国だった。衝撃に目を見張り、一時的に手の動きが止まる。しかし、次の瞬間には無意識のうちに手が動き始め、ジャック犯のメインPCへと攻撃を図る。案外あっけなく攻撃は通り、相手からの攻撃は途絶え、回線が回復し、断末魔の主がついに事切れた。
「公表は」
 と彼は聞いてきた。
「まだだ。作戦終了後だ」
「了解(ラジャー)」
《よくやった》
 上官殿の褒め言葉。彼が、いや、彼だけでなくこの作戦に死力を尽くしている者たちが知れば、どういう反応を示すだろう。その場の誰もが自らの正義を信じて、戦いに赴く中、敵中に自分たちの国の者が支援しているという事実を、彼らはどう受け止めるのだろうか。
《ESM支援を開始する》
 その合図を境に、自軍のサイバー部隊が一斉に支援を開始する。部隊の人間の戦闘服に取り付けられた小型ESMによって電波妨害(ジャミング)を引き起こす。さらに、作戦中にところどころに設置された携帯型組み立て式ESMの存在により、ジャミングの範囲は広がり、作戦を有利に進める事が出来る。
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08 08 ,2011  Edit


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