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COLDSLEEP

まどるdが趣味でかいた小説をだらしなく垂れ流す場所


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Category: 小説   Tags: ---

神々の息子達の黄昏  1

そこに横たわっていたのは死体だった。半眼に開かれた目からは、涙がこぼれていた。












 その日の気温は三十度を超え、大地を照らす事に熱心な太陽が雲に隠れて休むことはなかった。
 流れる汗を食い止めるためのバンダナでさえも既にその意味をなくして、汗のたっぷりしみ込んだただの雑巾のようだ。その色は赤黒く染まっており、血の匂いがぷんぷんした。そこから流れる汗でさえ、ほんのりと赤く染まっていて、舐めてみればそれはそれは塩辛くて、鉄の味が口の中で転がった。
抉れた大地に飛び込み、愛銃であるモシン・ナガンM28を構える。スコープもなく、素の姿のままに私に媚びへつらえる愛しい銃である。
硝煙の匂い、血反吐の匂い、焼けた肉の匂い、汗の匂い。その匂いが鼻をつくと、まるで麻薬でもキめたかのように頭の中が痺れる。私の脳みそへ、私の血液へ、私の細胞へと、その匂いは私を犯していく。
パン、という乾いた音が響いたころには、眼前の人間が頭に小さな穴をあけて、崩れ落ちようとしていた。モシン・ナガンの銃口からの硝煙の匂い、無意識的なボルトアクションが、私が撃ったのだという現実を気づかせてくれる。私にとって弾丸の装填音が、擦り切れたレコードの奏でるクラシック的音楽であり、囁きでもあった。空薬莢の地に落ちる音。頭の中に浮かび上がる言葉。出来る限りのことをやれ、と。

自分の意志ではなく。

やれと言われた事を可能な限りやれ、と。


 私が『生まれた』のは、正確には覚えていないが、西暦1964年だったと思う。そこでの生活はとても裕福とは言えなかった。誰かが言っていた、日常というものからはかけ離れていたからだ。その誰かの語る日常というものは、私にとっては夢であり、おとぎ話にすぎなかった。
 お世辞にも、生きている実感がわくとは言えないような、ただ流されるままの生き方が日常だと誰かは主張した。その誰かは、確か、どこぞの正義感あふれる国の人物であって、邪魔だ、という理由で上官がナイフで首を掻っ切って殺していた。元々は捕虜だったのもあるし、情報を得ようとひっ捕らえたのにもかかわらず、何気に情報を口に出さなかったし、口を衝いて出てくる言葉といえば私達への罵倒ではなく分かりあおうという、この場所にはあまりに不釣り合いすぎる綺麗言ばかりだった。
 私たちにとっては、日常というものは銃を持ち、血肉を飛び散らせ、相手を殺すための日々の事を言う。その時だって、私たちにとっては日常茶飯事な光景であり、行為であった。やらなきゃ、やられる、それだけだった。
 1976年、私はサンディニスタ民族解放戦線にて、ある部隊の部隊長を任された。その部隊は特殊の中の異色といわれるほどに、異彩を放っていた。部隊名、『ロイ・イーオス・デ・ヂーオセス』。神々の息子たちと呼ばれる謂われは、私達の存在にある。
 私達という存在は、人から『生み出された物』である。詳しく言えば、私達は発達状態にある子供の脳内から造り出された人格である。物心がつく前から、私達は調教されてきた。お前の名前は『シモ・ヘイヘ』だと。お前はいつも命令に従順で、可能な限りやれる事をやる男だと。映像を見せられ、これは全てお前がやったのだと。人を撃ち殺す場面を幾度となくと見せられ、お前は今、人を撃ち殺したのだと。そして、撃つという事は正しい事であり、己の身を守ることであり、己を証明することであり、相手を敬うことであり、何よりも、やらなくてはならないことだと。
 レコードが擦り切れるまで音楽を垂れ流すように、僕らの頭の中には彼らの言葉がこびれつくほどに垂れ流され、気づいた時には私は『シモ・ヘイヘ』になっていた。
愛銃はモシン・ナガンであり、1939年の冬戦争ではフィンランド国防陸軍第12師団第34連隊第6中隊に配属され、倒すべき敵を倒していったあの人物。
 私という存在は、かつての『シモ・ヘイヘ』の生き写しであり、クローンであり、偽物でもあり、誰でもない存在である。そうだ、私達は人類の交配から生まれた純粋な存在じゃない。作り出されたただの存在。名前も姿もない、誰か。
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Comment: 2   Trackback: 0

08 21 ,2011  Edit


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Comments

 シモ・ヘイヘとかモシン・ナガンとか……胸熱≧∇≦

 しかも、読みはじめから硝煙漂う臨場感と、重苦しい空気が感じられて、臨場感が半端ないです^^

 まだ一話で詳細は分かりませんが、すぐに惹きこまれました。

 続きも読ませていただきますね^^
Re: タイトルなし
>月黎風さん
コメントありがとうございます!

いやぁ、モシンとシモ・ヘイヘとか、知ってる方にはインパクトがあったみたいで感無量であります^^

次の章では更なるとんでも人物が登場しますので、心の準備をお願いします。肩すかし食らいますのでw

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